しごと図鑑 
華やかな衣装を生み出す! ファッションデザイナー

みんなの好きな服はどんな形、色かな?
小泉智貴さんは、フリルをたくさん使ったカラフルなドレスで世界から注目されているファッションデザイナーです。昨年7月、東京オリンピック開会式で国歌を独唱したMISIAさんのドレスをデザインし話題になりました。どんな仕事か、どんな小学生だったかなどを聞きました。

3月、東京都内で開催されたコレクション発表会で、モデルと一緒に笑顔を見せる小泉さん(中央一番前)=小泉さん提供

3月、東京都内で開催されたコレクション発表会で、モデルと一緒に笑顔を見せる小泉さん(中央一番前)=小泉さん提供


未来を予想して服をデザイン

Qどんなお仕事ですか?

小泉さん 人がこれから着たいのはどういう服かを予想して作っています。未来を予想する仕事です。

QMISIAさんのドレスにはどんな思いを込めたのですか?

東京オリンピック開会式で国歌を独唱する歌手のMISIAさん=宮間俊樹撮影

東京オリンピック開会式で国歌を独唱する歌手のMISIAさん=宮間俊樹撮影

小泉さん オリンピックは世界中の人が見ます。「誰でもわかる純粋な美しさ」を目指し、いろんな要素をそぎ落として「ピュアさ」を表現しました。生地は150㍍以上、ドレスのすそには30色を使い、光のプリズムの色を表現しました。

Qどんな小学生でしたか?

小泉さん 歌番組をよく見る「テレビっ子」でした。女性歌手の華やかな衣装が好きで、「非日常の世界」に憧れました。母が、親戚の経営する葬儀会社で働いていて、親戚の家には、大きな花輪、キラキラしたハスの花の飾り、灯籠などがたくさん置かれていました。そうしたカラフルで、儀式的な意味もある装飾品に日常的に囲まれていました。

Qファッションデザイナーになろうと思ったきっかけは?

小泉さん 中学2年生の時、本屋でたまたま開いたファッション雑誌の中に「ジョン・ガリアーノ」というデザイナーの服があり、衝撃を受けました。その年のクリスマスに母からミシンをプレゼントされ、創作活動を始めました。

 

たくさんの人を元気にしたい

Q仕事でうまくいかない時はどうやって乗り越えましたか?

小泉さん 元々ファッションは独学で基本的にゼロから始めています。「うまくいかなくて当然」と思っていました。今も「失敗してもまたやり直せばいい」という気持ちがあります。失敗がないと成功もありません。

Qデザインが生まれるプロセスは?

小泉さん デザインのアイデアを実際に形にすると意外とよくない――。その繰り返しです。「自分だけの答え」はそれがないと出せません。人のマネをして写すのは楽ですが、得られる成果はそれなりです。見すかされてしまいます。

Qファッションがどのような存在でありたいと思いますか?

小泉さん エンターテインメントとしてのパワーがあると信じています。小学生の時、大みそかの紅白歌合戦で小林幸子さんの派手な衣装にわくわくして「一年頑張ったな」と元気をもらいました。僕の作品を見て、たくさんの人が元気になってもらえたらうれしいです。

Q小学生にメッセージを。

小泉さん 想像力を持っていてほしい。「友達にこれ言ったら傷ついちゃうかな」と考えたり、マイノリティー(少数派)の方がいたら、その人の立場になって「何かできないかな」と想像したりする。そんな人の方がより豊かな経験や人間関係を作れると思います。

 

小泉智貴さん小泉智貴(こいずみ・ともたか)さん

1988年千葉県袖ケ浦市生まれ。3人きょうだいの次男。中学生の時から独学で創作活動を開始。千葉大在学中の2011年に自身のブランドをスタートし、多くのアーティストの衣装デザインを手がけ、国内外で高く評価される。2021年毎日ファッション大賞受賞。