大阪・関西万博会場に出現!「リング」 と 「森」
来年4月13日~10月13日に開かれる「2025年大阪・関西万博」には、161カ国・地域と9の国際機関が参加する予定です。テーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。各国のパビリオン(展示施設)は、会場の夢洲(大阪市此花区)の大屋根「リング」内にある「静けさの森」を中心に配置されます。会場のシンボルになる大屋根「リング」と「静けさの森」について、ご紹介します。

大阪・関西万博開幕1年前イベントで登壇した公式キャラクター「ミャクミャク」
「リング」とは?
大屋根「リング」(1周約2㌔)は、大阪・関西万博のシンボルとなる世界最大級の木造建築物です。8月に本体工事が完了しました。リングには約2万7000立方㍍もの木材が使われています。木材の接合部は清水寺(京都市)にある「清水の舞台」でも用いられる伝統工法「貫」を金属ボルトなどで強化し、現代風にアレンジしています。海外パビリオンを囲むように作られ、屋上通路「スカイウォーク」からは、会場全体や大阪湾を見渡すことができます。
建設費は約350億円に上ります。万博が終わった後は解体される予定ですが、一部を残す案や、部材を他の建物や内装に再利用する案も出ています。

中央に見えるのが「静けさの森」。周囲を大屋根「リング」が囲みます
「静けさの森」とは?
会場中心部に造成中の人工の森です。広さは阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)の半分強にあたる約2・3㌶。1970年に大阪万博が開かれた万博記念公園(大阪府吹田市)などから、コナラやケヤキなど約1500本の樹木を植樹する計画です。

万博の会場中心部に整備中の「静けさの森」
来場者が、にぎやかな場所から離れて散策を楽しんだり、休けいしたりするいこいの場になるほか、暑さ対策の役割も期待されています。すり鉢状の構造で、森の奥に進むと周囲のパビリオンが目に入らなくなります。木陰が多くできるように設計され、3カ所あるブーメラン状の水盤は、水が蒸発する際に地面の熱を奪う「打ち水効果」で周囲を冷やしてくれます。園路には江戸時代の絵図に描かれた帆船をヒントにデザインした日よけも設置されます。
森には、大木から個性的な枝ぶりの木まであります。中央には直径20㍍の池もできました。飛んできた鳥が羽を休め、トンボやセミ、コオロギが行き交う新たな生態系も育まれています。また、外来種を持ち込まないよう、造成には地元の工事現場の残土を、植樹には近隣の木を使う「地産地消」にこだわっているそうです。

「静けさの森」内にはえたキノコ

開幕まで半年になるのを前に
公開された「静けさの森」
万博(ばんぱく)
世界中の新しい技術や芸術文化を集めて展示する国際博覧会のことです。国内では万国博覧会とも呼ばれ、その略称が「万博」です。世界初の万博は1851年、ロンドンで開かれました。日本では、1970年に大阪で初めて開かれました。その後、75年に沖縄▽85年につくば(茨城)▽90年に大阪▽2005年に愛知——で開催しました。