プログラミングでどんな力が身につく?

青山学院大学大学院 阿部 和広さん
みんなは学校でプログラミングをやったことはある?
実は、プログラミングはみんなの身近な困り事を解決し、将来の夢にも役に立つ便利なスキルなんだよ。勉強することでどんな力が身につくか、どんなことに気をつけるべきか、20年以上前からプログラミング教育に関わっている専門家の青山学院大学の阿部和広特任教授に聞きました。
Qプログラミングを小学校で学ぶのはどんな意義がありますか?
阿部さん 大きく分けて三つあります。一つ目は私たちの身の回りにある家電品、車、ゲーム機などあらゆるものにコンピューターが使われています。コンピューターは人間がプログラムで命令しない限り動きませんので、プログラミングを学ぶことで私たちの社会がどういう仕組みで動いているかを理解するのに役立ちます。
二つ目は、自分がやりたいことをどういう手順でやればいいのか、筋道を立てて考える思考を「プログラミング的思考」と言います。この考え方を身につけられれば、料理をする時の手順など日常生活に関わっている普遍的な思考が身につくと言われています。
三つ目はプログラミングを学ぶことで国語・算数・理科・社会など別の教科の勉強もより深く学べるようになると言われています。
Q日々の生活にはどう活用されますか?
阿部さん 例えばお母さんが夕飯の献立決めに困っている場合、家にある材料からプログラミングの技術を使ってどういう料理ができるかを教えてあげることもできるでしょう。他にもダンスの振り付けを考えるのも、今までは紙に書いて覚えていたのをコンピューターで自分の写真を撮影して、動画を作るなどしてより早く正確に覚えたりすることもできるでしょう。
Q将来の夢にはどんな影響がありますか?
阿部さん みんなが好きなゲームや音楽も、今はお店で買ったゲームで遊んで、音楽もダウンロードして楽しんでいますよね。プログラミングを学ぶことで自分たちも作る側になれる、消費する側から創造する側になれるきっかけになります。
Qプログラミングを学ぶ上で注意すべき点は?
阿部さん コンピューターは便利な半面、人間とは違い、融通がきかない存在でもあり、世の中への影響も大きいので、使い方には気をつけないといけません。例えばAIで偽の画像を作り、フェイクニュースとして拡散することも簡単にできてしまいます。プログラミングの技術だけを身につけるのではなく、自分がやっていることにどういう意味があって、どういう危険があって、その結果にどういう責任を負うのか、ということまでを気に掛けながら使うことが大事です。
Q小学生にメッセージをお願いします。
阿部さん コンピューターは人類が発明した機械の中で一番すごいものだと思います。絵を描くことも音楽を作ることも新聞の文字を書くこともできる、従来のメディアを超えた「メタメディア」を作り上げることができる。プログラミングを学ぶことで、自分が何か伝えたい・表現したい時に、最適なメディアを選択する能力を培ってほしいと思います。
Q保護者の方は家庭でどんな声かけをしたら良いでしょうか?
阿部さん 保護者の方でプログラミングをよく知らない方もいると思いますが、まずお子さんの学習内容に関心を持って、どんな小さな成果でもほめてあげましょう。また、夕飯の献立決めなど、日常の家事などをお子さんに相談して、プログラミングで解決してほしいとお願いしてもいいかもしれません。