人間もできる? 動物の冬眠の不思議に迫ろう!

みんなは動物の冬眠って知ってる?
冬眠中は本当にぐっすり眠っているのかな?
おなかはすかないのかな?
哺乳類の冬眠の仕組みについて、理化学研究所チームリーダーの砂川玄志郎さんに聞きました。

Q 冬眠とは?

丸まって冬眠中のヤマネ山梨県の「やまねミュージアム」提供

丸まって冬眠中のヤマネ
山梨県の「やまねミュージアム」提供

A エサのない時期に動物がエネルギーを節約して「省エネモード」に入った状態のことです。動物たちは生きるために自分の体の体温を高く保つ必要があり、そのエネルギーをつくるためには食べ物が必要です。ですから、冬に限らず、エサのない時期に動物が生き残るための「サバイバル戦術」と言えます。

Q 冬眠する動物としない動物の違いは?

A 冬でも食べ物を獲得できる動物の多くは冬眠しなくても大丈夫です。動物園などで飼育されている動物や、冬の間は違う場所に移動している渡り鳥などです。

Q 冬眠中は全く動かないの?

冬眠明け直後のツキノワグマ岩手県盛岡市で

冬眠明け直後のツキノワグマ
岩手県盛岡市で

A 動物の体の大きさによります。科学用語では「体重に対して表面積が多いか少ないかの違い」と表現します。熊など体の大きな動物は体の熱がこもりやすく冬眠中も体温が30度くらいあるので、ゆっくりは動けます。リスなど小さい動物は熱がこもりにくく、体温が4~5度など外気温と同じくらい下がってしまうので、ほぼ動きません。息をするぐらいで、ずっと同じ姿勢で固まったままです。

Q 冬眠中はおなかが減らないの?

A 減ります。ただ、減るまでに何カ月もかかります。なぜなら、冬眠する動物は、夏から秋にかけてたくさん食べて、人間で言う「肥満」の状態にわざとなるからです。体に脂肪を蓄えておくので、冬眠中は食べなくても平気になります。
だから、冬眠明けのリスなどは体重が半分ぐらいまで減ります。

頬袋に木の実を詰め、冬眠準備に忙しいエゾシマリス 札幌市中央区で

頬袋に木の実を詰め、冬眠準備に忙しいエゾシマリス
札幌市中央区で

Q 人間も冬眠できるようになるの?

A できると思います。人間よりも大きな動物でもできているので。もし冬眠できるようになったら、例えばみんなや家族が急な病気やけがになった時、救急車が来るまでに時間がかかって病院にすぐに行けなくても、冬眠状態になっていたら、慌てずに運べます。医師も余裕を持って治療ができるので、助かる命が増えると思います。そんな社会を目指して研究を進めています。

 

 

理化学研究所 生命機能科学研究センター冬眠生物学研究チーム チームリーダー 砂川 玄志郎さん理化学研究所 生命機能科学研究センター
冬眠生物学研究チーム チームリーダー
砂川 玄志郎さん

1976年、福岡県生まれ。京都大大学院医学研究科博士課程修了。小児科医として大阪赤十字病院、国立成育医療研究センターで勤務後、29歳の時にたまたま読んだ論文がきっかけで人工冬眠の研究を開始する。
「いろんな経験をして、時が経つのも忘れるような自分のはまりポイントを見つけてほしいです」

 

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