オリンピックの新競技 「ブレイキン」に注目!

夏のパリ・オリンピックで新しく採用された競技「ブレイキン」(ブレイクダンス)が、注目を集めています。頭を地面につけた状態でくるくる回ったり、足を大きく広げながら手で体を支えたり――。力強い動きで、見ていて心がおどります。
ダンサーとして世界で活躍する河合来夢さんは今、ダンス講師や小学校の非常勤講師もつとめ、学ぶ楽しさを伝えています。河合さんに「ブレイキン」の魅力を聞きました。

◎「ブレイキン」とは?

DJが流す音楽に合わせて、その場で考えて踊ります。1対1のバトル形式で、技術の高さや「創造性」などを競います。
大まかには、立って踊る「トップロック」
▽しゃがんだ状態で手を地面につき、すばやく足を動かす「フットワーク」
▽頭や背中など体全体を使って回転する「パワームーブ」
▽体の動きを止める「フリーズ」
の四つの動きを織りまぜながら、ダンスを自由に作っていくのです。
1970年代のアメリカ・ニューヨークで、ギャングが暴力の代わりに平和的にダンスで対決したことが起源とされ、世界各地に広がりました。
「Bボーイ」「Bガール」と呼ばれるダンサーは自分の名前をもじるなどしたダンサーネームを付けるのが通例です。私のダンサーネームは「RAM」です。

◎あきらめない!

5歳のころ「運動することの楽しさを知ってほしい」と母に勧められ、近所のダンス教室で習い始めました。
10歳のころ、体を地面につけて手足を使って回る「ウインドミル」という技(パワームーブの一種)を練習して、6カ月でできるようになりました。家に帰ってからもあきらめずに挑戦し、体にはあざができたけれど、できるようになったときは達成感がありました。

◎「個性」を大切に

踊りに個性があり「みんな違って、みんないい」のがブレイキン。人によって、手足の長さも体重も違います。体のどこが柔らかいか、硬いか、といったダンサーの身体的な特徴によって、踊り方も変わります。踊りながら、個性を見つけ、表現していきます。また、ブレイキンの歴史的背景をふまえたジェスチャーをダンスの中に取り入れている方もいます。
私のダンスは、力強い「パワームーブ」が強み。「音をよく聞き、音楽にのって楽しむ」ことも、大切にしています。
ダンスを見ている人の「とらえ方」にも個性が出ます。オリンピックでも「この人の踊り、好きだな」という気持ちを大事に、楽しんで観戦してくださいね。

◎「踊ってみたい」と思ったら

私がダンス教室で教えるのは、まず「トップロック」です。ブレイキンの動画がたくさん公開されているので、興味を持った技から挑戦してみるのもいいと思います。

河合来夢さん河合来夢(かわい・らむ)さん
2001年生まれ。神奈川県出身。18年のユース五輪にブレイキン日本代表として出場し、個人と混合団体で金メダルを獲得した。文京学院大(東京)で学び、教員免許を取得。教育現場でも活躍している。

上、真ん中の写真=2024年撮影、IAM提供
下の写真=2020年撮影