補助犬を知っていますか?
補助犬とは、目や耳、手足に障害がある人と一緒に暮らし、サポートする「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」のことです。昨年、多くの人が使う施設などに補助犬の受け入れを義務づける「身体障害者補助犬法」が制定され20年となりました。

写真=公益財団法人日本補助犬協会提供
ユーザー(補助犬と一緒に暮らす人)は、法律に基づき認定された補助犬と一緒に、電車に乗ったり、飲食店や病院などに行ったりできます。補助犬はペットではありません。車内ではユーザーの指示した場所で静かに待つなど、社会のルールを守るように訓練されています。また、ユーザーも、補助犬が健康で清潔に過ごせるように管理すること(おしっこのタイミングを把握することや毎日のブラッシングなど)が義務づけられています。
盲導犬ユーザーの青木保潔さんは「20年ほど前、1人で歩いているとき、車止めのポールにぶつかってしまいました。腸が破れ、緊急手術をしたのです。それから、自分の『目』となり、危険を避けてくれる盲導犬と一緒に暮らしています。外出するときの不安な気持ちがなくなりました」と話しています。
Q なぜ補助犬は少ないの?
A 盲導犬の場合、日本で利用を希望している人は、3500人にのぼるとみられます。日本補助犬協会の代表理事・朴善子さんは「日本の街は、手足が自由に動くこと、耳が聞こえることなどを前提につくられてきました。そもそも車椅子で生活している人が街に出にくいのです。心のバリアフリー(さまざまな心身の特性や考えを持つ人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと)が広まってほしいです」と話しています。
Q 補助犬になるには?
A ほえないなど、補助犬に向いている性格のお父さんとお母さんの間から生まれた子犬が、候補になります。1歳ごろまでボランティアの家で暮らし、人への信頼感を育みます。その後、施設で訓練をします。
Q 補助犬に向いている性格や種類は?
A ユーザーが落とした物を口でひろう介助犬や、ユーザーを守りながら歩く盲導犬は、おおらかな大型犬、ラブラドルレトリバーが多いです。盲導犬の場合は、街を歩いた時に他の犬猫に気を取られすぎないか、新しい場所で落ち着いていられるかなど、盲導犬に向いているかどうかを確認します。音が鳴った場所と人の間を行ったり来たりする聴導犬は、プードルなどの小型犬が大半です。
盲導犬
見えない、見えにくい人が安全に歩けるように、サポートします。
障害物を避けたり、立ち止まって曲がり角や段差を教えたりします。日本に約850頭います。
介助犬
手や足に障害のある人の日常をサポートします。
物をひろって渡したり、指示したものを持ってきたり、服を脱いだり着たりするのを手伝ったりします。日本に約50頭います。
聴導犬
聞こえない、聞こえにくい人に必要な生活音を知らせます。
玄関チャイムやメール、目覚まし時計の音、キッチンタイマー、車のクラクションなどを聞き分け、教えます。日本に約60頭います。