しごと図鑑 車両のデザインや設計を考える「車両技術者」
乗客からの声をもとに、新しい車両を開発したり、すでにある車両をリニューアルしたりする仕事があります。東急電鉄の車両部で働く中野なつみさん(35)にどんな仕事をしているのか、話を聞きました。

「2020系」と中野さん
――乗客から、どんな声が寄せられるのですか
みなさんは車いすの人やベビーカーを利用する人などのために、座席がないエリアがあるのを知っていますか? 東急電鉄ではこのエリアのことを「ほっとスペース」と呼んでいます。
お客さまから「もっと数を増やしてほしい」という声をいただいたので、私が開発に関わった「2020系」という新しい列車では、すべての車両に1つずつ作りました。

「ほっとスペース」
――「2020系」を開発するとき、他にこだわったことは?
「2020系」は、東京都の渋谷駅から神奈川県の中央林間駅を結ぶ田園都市線を走っていて、2018年にデビューしました。
「田園都市線はいつも混んでいる」と言われることがあります。「混んでいても、できるかぎり車内でリラックスして過ごしてほしい」という思いから、床をフローリングのような木目調にしたり、照明をオレンジのような温かい光にしたりしました。座席の背もたれは、沿線の木々に囲まれた美しい風景をイメージしています。

「2020系」の車内
――デザインはどうやって決めていったのですか?
まず、どんな車両にしたいか、コンセプトを言葉にするところから始めました。それをデザイン会社や車両メーカーと相談しながら、車体や車内のデザインに落とし込んでいきました。私は3者をつなぐディレクターのような存在ですね。
――開発で大変だったことは?
車体のカラーは真っ白ではなく、パールホワイトのような落ち着いた白にしました。お客さまに「きれいな色の特別な電車だな」と感じてもらいたかったからです。
一方で汚れが目立つ色なので、車両のメンテナンスをする部門から「もっと洗浄のことを考えてほしい」と言われました。
表面に加工をして、今まで通りの洗浄でも汚れが落ちるようにすることで、皆さんに理解をしてもらえました。
――仕事で気をつけていることは?
お客さまだけではなく、運転士や車掌、メンテナンス部門の人――さまざまな人にとって使いやすい車両にしなければいけません。それぞれの希望をすべてかなえることはできませんが、バランスをとれるように気をつけています。

――どんな小学生でしたか?
目標に向かってがんばることが好きでした。私の小学校には毎年、海で1キロ泳ぐイベントがありました。そのために学校のプールや、スイミングスクールで毎日練習をして、ゴールできたときは達成感がありました。
あと、自由研究が好きでした。あずきやひまわりなど、いろいろな種を発芽させて、もやしを育てたこともあります。
――好きな教科はありましたか?
高校生のとき、物理の授業が分からなくて悔しかったので、参考書を買って勉強しました。その結果、テストでいい点が取れたり、おもしろさが分かったりして物理が好きになりました。大学は理工学部に進みました。
――東急電鉄に入社したきっかけは?
大学に行くために満員電車に乗るようになって、「大人たちは大変な思いをして、会社に行っているんだな」と思いました。よりよい列車を開発して、通勤の時間をもっと心地よく過ごしてもらいたいと考え、入社しました。
――小学生にメッセージをお願いします。
興味のあることを学ぶ中で、将来の夢を見つけたり、自信がついたりします。みなさんには自分の好きなことを極めて、何かのプロフェッショナルになってほしいです。
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