生き残りをかけて工夫? タンポポを横から見てみよう!

タンポポを横から見てみよう!

春、公園で見かけるタンポポを観察してみませんか? 「小さな植物も、生き残りをかけて工夫して生きていることに、気付いてもらえるとうれしいです」と「小学館の図鑑NEO(ネオ)飼育と観察」を監修している樋口幸男・恵泉女学園大学(東京都多摩市)教授は話しています。


「二つのタンポポ」分かるかな?

タンポポは、キク科の植物。たくさんの小さな花が集まって、一つの花のように見えます。日本に昔からあるのは「カントウタンポポ」や「カンサイタンポポ」などで、今の日本でよく見かけるのは、「セイヨウタンポポ」です。

タンポポは、タネに綿毛がついています。「セイヨウタンポポ」のタネは軽く、遠くまで飛んでいきます。住宅を建てるために切りひらいた荒れ地だった土地など、土がむき出しになった場所にも根付き、どんどん増えていきました。

見た目に違いもあります。花の付け根がしっかり垂れているのが「セイヨウタンポポ」。真っすぐなのが「カントウタンポポ」です。

「二つのタンポポ」分かるかな?

タンポポは、開いたり閉じたりする花です。観察してみると、1日の中で花が開いている時間が意外と短いことが分かるでしょう。自宅近くや公園のタンポポに目印などをつけ、①何時ごろ開いて、閉じるか②天気による様子の違い――などを観察してみてもおもしろいですよ。

球根を植えて育つチューリップはどうでしょうか。気温が上がると花が開き、夜、寒くなると花を閉じる性質をもっています。花びらを閉じることで、寒さからおしべやめしべを守ることもできます。虫に花粉を運んでもらうことで増えていく花の場合、虫がこない夜は、花を閉じても問題ないのです。

カラスノエンドウの強さの秘密カラスノエンドウの強さの秘密

道ばたに生えているカラスノエンドウを引っこ抜いてみると、根にこぶのような根粒がついています。根粒には、細菌がすみつき、空気中のチッ素(植物が成長するために必要な物質)を、植物が利用しやすい形に変えてくれます。ですから、カラスノエンドウは、荒れた土地でも育つのです。